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アイシングについての知識

2024.2.15

タイトル:アイシングってやればやるほどいいの?

こんにちは。SOL整形外科の内田です。このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。

今回のご質問はアイシングについて。一昔前とはアイシングの理解も大きく変わってきています。Q&Aをぜひご覧ください。

 

質問:怪我をしたらアイシング、とよく聞きます。アイシングにはどんな効果があるのですか。また、どのくらい継続したらよいのでしょうか。

回答:ご質問ありがとうございます。アイシング、すなわち氷を用いた冷却治療は、怪我や運動後のリカバリーに広く使用されています。しかし、近年の研究により、アイシングの効果や正しい使い方についての知識が更新されてきています。デメリットも理解して正しくアイシングを使いましょう。今回は、怪我をした際のアイシングについて説明します。

 

1. アイシングの効果

炎症の抑制:アイシングは、損傷部位の炎症を和らげるのに有効です。冷却により血流が減少し、炎症を引き起こす物質の供給が減少します。

痛みの緩和:神経の伝達速度が遅くなるため、痛みを感じる閾値が上昇します。

筋肉のリラックス:冷却により痛みが緩和されると、痛みによって生まれていた筋肉の緊張が和らぎます。

 

2. アイシングの正しい方法

タイミング:怪我直後の24~48時間に痛みを軽減することを目的に行います。(その後は、炎症や痛みに応じて行う必要があるので、整形外科を受診して指導を受けましょう。)

方法:氷水を入れた氷嚢を使います。薬局や百円均一のお店で販売されているので探してみてください。

氷嚢を使用する際は、中の空気をしっかり抜くことで患部にしっかり氷嚢をあてることができます。

保冷剤しかない場合には、低温やけどの可能性があるのでタオルで包んで使用してください。

持続時間:一度に15~20分を目安にします。それ以上は冷却しすぎのリスクがあります。

間隔:1時間以上の間隔をあけることで、皮膚の適切な温度回復を促します。

 

 

3. 注意点と誤解

低温やけどのリスク:冷却しすぎると、皮膚に熱傷を引き起こす可能性があります。適切な時間と間隔を守りましょう。

筋肉の回復についての誤解:アイシングが筋肉の回復を促進するという説は、一部の研究で疑問視されています。冷却により、筋肉への栄養供給が低下する可能性が指摘されています。

冷却後の動き:アイシング後、対象部位の動きが鈍る場合があります。活動を再開する前には様子を見て少しずつ動き出すようにしましょう。

 

4. 最新の研究と知見

炎症の役割:炎症は、損傷部位の治癒プロセスにおいて重要な役割を果たしていると考えられています。過度なアイシングは、この自然な治癒プロセスを妨げる可能性があるとの指摘もあります。

「適度なアイシング」の推奨:過度な冷却は避け、必要な時と適切な時間で行うことが求められます。怪我のあと48時間以内に応急処置として行う、痛みの軽減目的でのアイシング以外については、専門家の指導を受けるようにしてください。

 

5. まとめ

アイシングは、炎症や痛みの緩和に有効な方法として長らく用いられてきましたが、その使用方法や持続時間、炎症に対する考え方など、新しい知見が日々更新されています。

怪我や痛みの際は、応急処置として適切なアイシングを行いながら、必要に応じて専門家の意見や診察を受けることが大切です。

アイシングにもデメリットがあることをご理解いただいた上で、家庭でのアイシングは、怪我直後の痛みを抑えるための方法として怪我直後から48時間のみ使用し、その後の対処については整形外科医の指導を受けてください。

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