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打撲したときにどうしたらいいか

2024.12.16

■打撲したときの受診判断■

 

こんにちは。SOL整形外科の内田です。
このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。
今回のご質問は打撲(だぼく:打ち身のこと)について。スポーツをしている子どもたちにとって、打撲は最も一般的な怪我の一つです。打撲の基本的な処置方法について、Q&Aをぜひご覧ください。

質問:

ラグビーを始めた小学生の親です。練習を終えると、いつもアザができています。ぶつかるのは仕方がないと思うのですが、どう対処したらよいか迷うことがあります。こういうときは必ず病院へ!と、親でもわかる判断基準はありますか。

回答:

ご質問ありがとうございます。ラグビーのようなコンタクトスポーツでは、どうしてもアザができるようなぶつかり合いが起きますね。医療の言葉では「打撲」と呼びます。まずは打撲によるアザについての基本的な知識をお伝えしたうえで、対処方法についてご説明したいと思います。

 

1.    打撲とは

打撲とは、外部からの強い力が身体に加わることによって、筋肉やその周辺にある軟らかい組織が損傷を受ける怪我の一種です。皮膚の内部で組織が傷つき、血管が破れて出血している、という状態です。外見上は「腫れ」や「アザ」として現れます。この皮膚の下での出血により、血液が周囲の組織に浸透することで腫れや痛みを引き起こします。

2.    医師の診察が必要かどうかの判断について

 コンタクトスポーツでの打撲は日常茶飯事なのでなかなか医師の診察を、と考えるにハイただないかも知れませんが、もしも以下のような状態だった場合には必ず受診してください。もちろん、小さなことでも心配ごとがあればいつでも相談に来てくださいね。

  • 痛みが強く、長引く、または悪化していく場合
    通常のRICE療法(次の項目で説明します)で改善しない激しい痛みが続く場合は、骨折や深刻な軟部組織損傷の可能性があります。安静にしているのに痛みが強くなっていく場合は要注意です。
  • 腫れや変色が著しい場合
    打撲部位が異常に腫れたり、色が黒っぽくなるなどの変化が見られる場合は、治療が必要な組織の損傷が考えられます。
  • 動かしたときに痛む、または痛くて動かせない場合
    アザができている部位の周辺の関節を、お子さん自身に動かしてみてもらってください。自分で動かそうとしたときに、痛くない方の手足と比べて痛みが原因の動きの制限がある場合、関節や周辺筋肉の損傷が疑われるため、医師の診断が必要です。
  • 感覚異常やしびれがある場合
    打撲のあった場所、またはその場所よりも四肢の末端の方向にしびれがある場合には、神経に影響を及ぼしている可能性があります。早急な対応が必要なので医師の診察を受けてくだい。

3.    RICE療法

打撲の初期対応として最も一般的かつ有効な方法は、RICE療法です。打撲に限らず、捻挫や肉離れの応急処置にも有効です。このブログでも何度も登場していますね。
RICEは以下の4つのステップの頭文字を取ったもので、それぞれのステップが二次的な問題を防ぐ役割を果たします。打撲の部位によっては圧迫などしづらいこともあると思います。その場合は安静にして冷やすだけでも効果がありますので、ぜひ試してみてください。

  • Rest(安静):
    打撲した直後、その部位は安静にしましょう。安静にする、とは、動かさないようにすることです。安静にすることで、さらなる出血を防ぎ、回復を早めることができます。運動中は難しいことがあるかもしれませんが、練習や試合が終わったら、その日はゆっくり過ごしてください。
  • Ice(氷冷):
    打撲部位に氷を当てると、痛みや腫れを軽減することができます。氷は直接肌に当てず、アイスバッグにいれるか、ビニール袋に入れたうえでタオルで巻くなどしてください。冷却は1回につき15〜20分間行い、1時間ごとに繰り返すと良いでしょう。打撲の直後には入浴せず、シャワー程度にしておくと良いですね。大きな損傷がなければ、翌日には内出血も止まるので、入浴して大丈夫です。
  • Compression(圧迫):
    伸び縮みする包帯や弾性バンドを使用して、打撲部位を軽く圧迫することで、腫れを抑えることができます。ただし、過度な圧迫は血流を阻害するため、痛みが増差ない程度で、心地よい範囲に調整してください。子どもの腕くらいの細さなら、伸び縮みする包帯でも大丈夫だと思います。しばるのではなく、大人が使う着圧ソックスのような圧迫をイメージしてください。
  • Elevation(挙上):
    打撲部位を心臓より高い位置に保つことで、腫れを減少させることができます。特に足や手の打撲では、椅子やクッションを使って高く持ち上げると効果的です。

 

たかが打撲、されど打撲。大きな力によって身体の中で出血が起こる打撲は、よく起こる頻度の高い外傷であるがゆえに軽視されがちです。けれども、今回お話したように
痛みが悪化していく場合やしびれがある場合など、気をつけたほうがいい状況に陥ることも無きにしもあらずです。スポーツは、日常生活動作と比較して大きな力と遭遇しやすい環境ですから、練習や試合が終わったら身体のチェックをする習慣を持ちたいですね。

心配事があればいつでも整形外科医にご相談ください。一緒にお子さんの身体について相談していきましょう。

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