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湿布の効果と注意点
2024.11.15■湿布とアイシング、どっちが効果的?■
こんにちは。
SOL整形外科の内田です。
このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。
今回のご質問は市販の鎮痛薬について。
どんなことに気をつけて服用すればいいのか、Q&Aをぜひご覧ください。
質問:
陸上競技をしている子どもがいます。先日、練習の後で捻挫したような痛みがあるということで家にあった市販の湿布を貼りましたが、あまり効果がありません。さらに、湿布でかぶれてしまったようで、赤くなってしまいました。
湿布に効果はあるのでしょうか。また、かぶれてしまったらどうしたらよいでしょうか。
回答:
ご質問ありがとうございます。お子さんは練習後に捻挫したような痛みがあるのですね。湿布に効果があるのかどうか、かぶれてしまったがどうしたらいいか、というご質問ですね。まずは、湿布の効果のお話からしたいと思います。
1.湿布の効果について
痛みがあるときによく使われるのは冷感湿布だと思います。ひんやりする湿布ですね。湿布は、温度を下げてくれているような気がするものですが、実は冷感湿布を貼ることで実際に患部の温度が物理的に下がるわけではありません。冷感湿布が「冷たく感じる」のは、含まれる成分(メンソールやカンフルなど)が皮膚に作用し、冷たさを感じさせる感覚的な効果を生み出すためです。
冷感湿布に含まれるメンソールやカンフルといった成分は、皮膚の冷感受容体(温度を感じる組織)に働きかけ、冷たさを感じさせます。この感覚によって、痛みや炎症が「和らいだように感じる」ものです。これは「冷たい感じがする」という感覚的なものであり、実際に温度を下げる作用があるわけではありません。
一方、アイシング(氷や冷却パック)は、実際に物理的に患部を冷やし、炎症を抑えたり血管を収縮させて腫れを軽減したりする効果があります。ですので、練習後に足首が痛い、という訴えがあった場合は、湿布ではなくアイシングを選択していただきたいと思います。
*市販のものではなく整形外科で処方される湿布の場合には、消炎鎮痛効果がある薬剤を含むものの場合があります。こちらは禁忌などもありますので、処方された人が処方された症状にのみ使用してください。
2. 湿布でかぶれてしまった場合の対処
湿布を使用した際、子どもの肌が敏感であるためにかぶれが起こることがあります。かぶれた場合の症状としては、皮膚の赤み、かゆみ、水ぶくれ、かさつきなどがあります。このような症状が出た場合には、以下の対処を行いましょう。
対処法:
1.すぐに湿布を外す:まず、かぶれが見られたら、すぐに湿布を外します。長時間放置すると症状が悪化する可能性があります。
2.患部をきれいに洗う:湿布を外した後、患部をぬるま湯で優しく洗い、薬剤成分を取り除きます。この際、石鹸を使わずに水だけで洗う方が良い場合もあります。
3.薬剤師や医師に相談する:かぶれがひどい場合や、症状が治まらない場合は、皮膚科や薬剤師に相談して、かゆみ止めや抗炎症薬の処方を受けることを検討してください。
4.再度使用しない:一度かぶれた湿布は、再度使用しないようにしましょう。同じ成分でかぶれを起こす可能性が高くなります。
5.かぶれやすい原因:湿布でかぶれてしまう原因としては、湿布に含まれる薬剤成分や粘着部分に対するアレルギー反応が考えられます。特に、子どもは肌が敏感なので、大人よりもかぶれやすい傾向があります。さらに、長時間湿布を貼り続けると、皮膚に負担がかかりやすくなるため、かぶれるリスクが高まります。
3. 湿布を使ってはいけない場合
以下のような場合には、湿布を使ってもあまり意味がない、もしくは悪化させる可能性があるため、使用を避けるべきです。
1.重度の捻挫や骨折: 骨折や重度の捻挫の場合、湿布では十分な治療効果が得られません。
この場合は、医師の診察を受け、適切な固定や治療が必要です。
湿布だけでは治らないため、痛みを和らげる目的で使う場合でも、必ず医師に相談することが大切です。
2.開いた傷口: 皮膚が切れている場合や、擦り傷がある場合、湿布は使用すべきではありません。
湿布を貼ると感染のリスクが高まり、症状が悪化する可能性があります。
まとめ
湿布には物理的に温度を下げて炎症を抑える効果はあまりありません。冷感によって痛みを軽減する道具だと考えてください(処方薬を除く)。また、子どもの肌が敏感な場合は、かぶれが起こることがあります。かぶれた場合はすぐに湿布を外し、適切に対処してください。湿布を正しく使い、お子さんがスポーツを安全に楽しめるよう、注意して対処しましょう。