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「全治〜週間」の意味

2024.9.13

■全治2週間と言われたら■

こんにちは。

SOL整形外科の内田です。

このコラムでは、患者さんやそのご家族から寄せられる質問に、整形外科医の視点でお答えしています。

今回のご質問は医師の言う「全治」という言葉について。みなさんも、「だいたい全治2週間程度でしょうね」など、医師から説明を受けたことがあるでしょうか。

その意味について、考えてみましょう。

質問:

先日転んで骨折をして、他院で全治4週間と言われました。全治、の意味がよくわからないのですが、4週間たてばスポーツに復帰してもよいということでしょうか。

テニスをしているので、早く治したいです。

回答:
ご質問ありがとうございます。テニスに復帰されたいとのこと、復帰後に「やりたいこと」があることが素晴らしいですね。

テニスを再開した際のトラブルを減らすことができるよう、全治という言葉をしっかり理解して、復帰までの道のりをイメージしていきましょう。

 

■「全治4週間」?:スポーツ復帰のタイミングについて

まず、「全治4週間」と診断された場合、必ずしも4週間後にすぐにスポーツに復帰しても良いというわけではありません。

全治期間は怪我の程度や個人差、回復の進捗状況によって異なり、その後のリハビリテーションやコンディション調整が必要になることもあります。

以下に、詳しく説明していきますね。

全治期間とは何か?

まず、全治期間について理解することが重要です。医師が「全治4週間」と診断する場合、その期間は怪我が「治癒する」目安の期間を指しています。「治癒」とは、痛みが和らぎ、炎症が引いて、基本的な日常生活に支障がなくなるまでの期間です。しかし、スポーツに復帰するにはさらに時間と準備が必要な場合があります。

【大人の場合の例】

◎怪我の種類と回復

例えば、手首の骨折が「全治4週間」と診断された場合、4週間後には日常生活には問題がない状態になっていることが多いです。

しかし、もしテニスに復帰するとなると、手首に大きな負荷がかかるため、完全に復帰する前にリハビリや筋力トレーニングが必要です。

リハビリのプロセスでは、ストレッチ、筋力強化、バランストレーニングを通じて、怪我した部位を再びスポーツに耐えられる状態に戻す必要があります。

◎専門家の指導

スポーツ復帰のタイミングについては、リハビリテーションの専門家やトレーナーと相談しながら進めることが重要です。

テニスでは、まずはしっかり関節の動きを回復させてから、まずは素振りから始めるなど、重さや強度が軽い順にリハビリメニューを組み立てていく事が必要でしょう。

また、別の例で言えば、ランナーの捻挫などの場合、まずは軽いジョギングから始め、その後徐々に距離やペースを上げていくことが大切です。

どちらも、急に受傷前の運動に戻してしまうと、再び怪我をするリスクが高まります。

つまり、「全治4週間」と言われたら「4週間後にスポーツに向けて徐々にトレーニング開始」という意味だと捉えてください。

また、その「4週間」という言葉も、治療の進捗は個々人で違うことをふまえて、整形外科医やリハビリの担当と一緒に経過を追っていただきたいと思います。

【子どもの場合の例】

◎成長と怪我の回復

子どもの場合、成長段階にあるため、怪我の回復やリハビリの進行が大人とは異なることがあります。

例えば、成長期の子どもが手首を骨折し、「全治4週間」と診断された場合、骨がしっかりとくっつき、痛みがなくなったとしても、すぐにスポーツに戻るのは注意が必要です。

成長中の骨や関節は柔軟であり、再度の負荷に対する耐性がまだ完全ではないことがあります。

つまり、子どもの場合は大人よりも、4週間という期間そのものに幅があるかもしれない、と考えてください。

◎親と指導者の役割

子どものスポーツ復帰については、親や指導者の役割も重要です。

医師やリハビリ担当の指導を受けながら、子どもの状態を観察し、無理をさせないように注意する必要があります。

なぜなら、子どもは大人よりも自分のコンディションをコントロールすることに慣れていないからです。

テニスに復帰したい、早くスポーツに戻りたい、と思っている子の治癒を早めるには、周囲の協力で、怪我の期間にあまりフラストレーションがたまらないように考えていく必要があります。

もしどうしてもなにか運動をしていたい、ということがあれば、手首の骨折ならば他の部位の運動も可能かもしれません。

ぜひ、整形外科医やリハビリの担当と一緒に、その子の運動したいという欲求を満たしつつ、患部をしっかり休ませるにはどうしたらいいか、方法を検討してもらいたいと思います。

■全治期間後のケア■

全治期間が過ぎた後も、適切なケアを続けることが大切です。大人も子どもも、リハビリテーションの他に、以下の点に注意することで、再発を防ぎ、スポーツに安全に復帰することができます。

◎ストレッチとウォームアップ

スポーツを再開する際には、ストレッチとウォームアップをしっかり行うことが重要です。

これにより、筋肉や関節の柔軟性を保ち、再び怪我をするリスクを低減できます。

◎フィードバックと調整

スポーツ復帰後も、体の状態について定期的にフィードバックを受けることが重要です。

特に痛みや不快感を感じた場合は、無理をせずに活動を調整することが大切です。

◎継続的なリハビリ

一度怪我をした部位は再び弱くなる可能性があります。したがって、スポーツを再開してからも、継続的なリハビリテーションを行い、筋力や柔軟性を維持することが推奨されます。

■まとめ■

「全治4週間」という診断は、日常生活に戻るための目安であり、スポーツ復帰のタイミングとは必ずしも一致しません。大人も子どもも、スポーツ復帰には慎重なステップと準備が必要です。怪我の種類や個々の回復状況に応じて、医師と相談しながら、無理のない復帰を目指しましょう。スポーツは楽しみながら続けることが重要ですので、健康第一で活動を再開してください。

 

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