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膝前十字靭帯損傷について
2022.1.26前十字靭帯損傷
前十字靭帯とは?
膝関節には4つの靭帯があります。
・前十字靭帯
・後十字靭帯
・内側側副靱帯
・外側側副靭帯関節の中でクロスしているのが前十字靭帯と後十字靭帯です。このクロスした靭帯で前後の動揺性と回旋を制御しています。前十字靭帯は特に大腿骨に対して脛骨が脱臼するのを防ぐ靭帯です。
受傷機転は?
・接触型(直接膝関節に外力が加わって受傷)
・非接触型(ジャンプ動作やストップ動作、方向転換にバランスを崩した際に受傷)
非接触型損傷が約70%を占め、男女の発生頻度では女性のほうが多く、バスケットボール・サッカー・ハンドボールでは約2~7倍と言われています。
受傷機転として“膝が内側に入る”が多く挙げられます。前十字靭帯損傷時の発生メカニズムは徐々に明確になってきておりますが、実際の生体内でそのようなことが起こって損傷しているかは未だ不明です。しかし、実際前十字靭帯を損傷した動画を分析し、“足の接地から損傷までに股関節はほとんど動いていない”という報告があります。
前十字靭帯損傷は、内側側副靱帯や半月板なども同時に損傷するケースがあります。
MRI撮影で前十字靭帯の損傷有無を確認します。
ムストリングスの腱や膝蓋骨についている靭帯の一部を採取し、新しい靭帯とした再建術を行います。
症状は?
急性期(約3週間程度)には、膝関節の腫れ・痛み・可動域制限が見られます。この時期に痛みが強い場合は安静が必要ですが、痛みのない範囲で関節を動かすことによって筋力低下を最小限に抑えることができます。急性期を過ぎると、日常生活で膝崩れ(膝から力が抜けるような感覚)や膝の不安定性が見られます。
治療は?
・手術療法
一方、日常生活や軽い運動で膝崩れや不安定感の症状が少ない方や積極的にスポーツを行わない方、高齢者の場合にはリハビリによる保存療法を選択します。以前は前十字靭帯を再建しないと変形性膝関節症リスクが高まると言われていましたが現在では前十字靭帯の有無は変形性膝関節症の発生要因には含まれないとの報告もあります。
・保存療法
一方、日常生活や軽い運動で膝崩れや不安定感の症状が少ない方や積極的にスポーツを行わない方、高齢者の場合にはリハビリによる保存療法を選択します。以前は前十字靭帯を再建しないと変形性膝関節症リスクが高まると言われていましたが現在では前十字靭帯の有無は変形性膝関節症の発生要因には含まれないとの報告もあります。
復帰時期やリハビリテーションは?
再建手術での新しい靭帯がスポーツの強度に耐えられるようになるまでは最低6ヶ月以上かかると言われております。したがって術後リハビリをしっかり行うことで最短で約6~8ヶ月でスポーツ復帰が可能です。
リハビリテーションでは
・可動域改善
・筋力強化
・身体の使い方の改善
を適切な時期にトレーニングしていきます。
特に非接触型で受傷した方は、今までと同じ身体の使い方のままだと再受傷のリスクが高いため、身体の使い方をトレーニングする必要があります。
前十字靭帯の受傷機転として“膝が内側に入る”が多く挙げられます“膝が内側に入る”のには足関節と股関節など隣接した関節機能も関わってきます。例えば、身体を横に倒しただけでも(体幹側屈)、膝は内側に入ります。このような身体の特徴を運動連鎖と言います。上下の関節、あるいは他の関節の状態がそれぞれの関節に関連しているのです。この運動連鎖が破綻している状態のままでは仮に前十字靭帯を再建しても再受傷の可能性が高まります。
したがって、運動連鎖が破綻している膝以外の全身の間接運動を評価しながら、しなやかかつ正確に体が動かせるようなトレーニングをする必要があるわけです。
ジャンプの着地で「ドンッ」と大きな音がなる、減速や切り返し時に「バタバタ」と大きな足音がする人は股関節を上手に使えていない傾向にあります。運動連鎖を意識したトレーニングを心がけスポーツの早期復帰をして行きましょう。